1.コンピュータの歴史

 
 計算を行う道具で最も古いものはそろばんであろう.しかしこれを使うには特別の訓練が必要である.もっと自動的に計算を行う機械が,1600年代半ばにPascalやLeibnizによって考案された歯車式の計算機である.これは1960年代まで便利な計算機として実際に使われていた(当時はまだ電卓もできていなかった).1960年代後半にはリレースイッチを使った電気的な計算機が出回ったが,数年で急速に発達した電子式の計算機にとって代わられた.以下はこの電子計算機(コンピュータ)の急速な発達の様子である.
 コンピュータは電気回路で計算を行うがその主要部品を論理素子という.コンピュータの発達は論理素子の発展によるものであり,使われている論理素子の違いにより第○世代コンピュータと呼ばれている.

(1) 第1世代コンピュータ(〜1958年)−真空管

ENIAC (Electronic Numerical Integrator And Calculator)
 1946年,米国ペンシルバニア大学で当時ラジオや通信機器に使われていた真空管(右図)を論理素子に使い,ENIACと名づけられた初めてのコンピュータが作られた.真空管19,000本を使い,重量30トン,床面積450u(例えば隣の721教室は180u)である.40年代前半の大戦中に大砲の弾道計算で温度,風向き,風速を変えた膨大な量の計算が必要になり,開発が始まったものである.完成したときは弾道1つの計算が4秒で済み,「弾より速い」と言われた.当時の真空管の寿命は3〜4ヶ月であり19,000本の真空管は1日に190本,つまり10分に1本壊れることになり使い物にならない.これを動作電圧を2/3に下げることにより寿命を数10倍に伸ばすことに成功したものである.www.wizforest.com/OldGood/eniac/ 参照.

EDSAC (Electronic Delay Strage Automatic Calculator)
 ENIACは計算式を変えるにはプログラムボード上の配線を変更して行ったが,ノイマン(von Neumann)はプログラム内蔵方式と言って,プログラム(コンピュータへの指令)をコンピュータ内に記憶させておき,そのプログラムを変えることにより違った計算が出来る方式を提案した.これによりコンピュータはいろいろ違った計算が出来るという汎用性をもつことになったし,また,次にすることを自分で判断する自立性も備えた.このノイマンの提案を実現させたのが1949年に英国ケンブリッジ大学で作られたEDSACである.www.wizforest.com/OldGood/edvac/参照.

阪大真空管計算機
 日本でも1950年に大阪大学の城研究室で,真空管1,500本を使ったENIAC型の計算機が試作された.

(2) 第2世代コンピュータ(1958〜1963年)−トランジスタ

 1949年にベル研究所で発明されたトランジスタを論理素子に使ったコンピュータ.
 1958年のIBM7070等,もっぱらIBM主導である.日本では1959年に日本電気によりNEAC-2203が作られた.

(3) 第3世代コンピュータ(1964年〜1979年)−IC

 トランジスタを多数組合わせた小型高機能回路IC(Integrated Circuit,集積回路)を論理素子に使ったコンピュータ.1964年にIBM360が世界的にヒットした.1971年に出来たIBM370はさらに進んだLSI(Large Scale IC)を論理素子に使用した.

(4) 第4世代コンピュータ(1980年〜)−VLSI

 VLSI(Very Large Scale IC大規模集積回路)を論理素子に使用.450uのENIACの性能が電卓の大きさで実現できるようになった.
 この頃パソコンが出来る.
  1977年 AppleU 8ビット機
  1981年 IBM-PC 16ビット機 OSとしてMS-DOSが誕生.
  1982年 NEC PC-98 16ビット機
   32ビット機になったのは80年代後半.
  2003年 Athlon64(コード名Claw Hammer) 64ビットCPU

     注:○○ビット機の意味は第8章の加算器で,OSとCPUは第7章で学習する.

(5) 第5世代コンピュータ(開発中)

 非ノイマン型コンピュータ.パターン認識が容易にできるように脳の働きをモデルにして開発中であるが,まだ実現していない.